赤羽 千恵
2022年、エレクトロフォーミングという銅メッキの技法に出会い、その奥深さにひかれて学び始めました。同年11月にクリエイターコース、2023年1月にはインストラクターコースを修了。植物や天然石、生き物が好きで、自然の美しさや儚さをそっと閉じ込めるような作品づくりをしています。
日々の気づきやときめきを大切にしながら、ひとつひとつ心を込めて制作・販売しています。
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銅のアクセサリーって、すぐ黒ずんだり緑色になったりしない?
そう思われる方も少なくありません。確かに銅は、空気や水分と反応して少しずつ色が変わっていく素材。でも、私はその“変化する”性質こそが、銅の最大の魅力だと感じています。
私の作品は「エレクトロフォーミング」という技法で制作しています。
これは、植物や昆虫、天然石などの形をそのまま金属化していく方法で、自然の造形を壊すことなく、金属として定着させることができます。
そして、この技法と特に相性が良いのが「銅」。
銅は導電性が高く、成膜のコントロールがしやすいため、葉の繊細な模様や石の縁取りなど、非常に細かい表現が可能です。
さらに、いぶし加工や磨きの加減によって、アンティーク調にも、ナチュラルにも表情を変えられるのが魅力です。
銅は時間とともに酸化し、表面が少しずつ黒っぽくなったり、緑青(ろくしょう)と呼ばれる緑の膜が出たりします。
これは欠点ではなく、「育つ金属」ならではの味わい。
持ち主の肌や空気、環境によって変化するので、世界にひとつだけの表情になっていきます。
もちろん、日々のお手入れでも、美しい状態を保つことができます。
銅は、天然石との相性がとても良い金属です。
赤みを帯びた温かみのある色合いが、特にグリーン系の石(プレナイト・ペリドット・モスアゲートなど)を引き立て、自然な調和を生み出します。
また、銅は古くから癒しや浄化の力を持つ金属として親しまれており、石の持つエネルギーと共鳴するともいわれています。
特に、植物モチーフや水の要素と組み合わせると、より一層有機的で静かな美しさが生まれます。
銅のアクセサリーを長く楽しむためには、ちょっとしたお手入れがとても効果的です。
使用後は、柔らかい布で軽く拭くだけでも十分です。
湿気が多い場所を避け、ジップ付き袋や小箱で保管すると変色を抑えられます。
黒ずみが気になる場合は、専用クロスで軽く磨いてください。
市販の金属用クリーナーは、石やコーティングを傷めることがあるため避けてください。
石を使っている作品の場合は、水洗いや強い摩擦は避けるのが基本です。優しく扱っていただければ、長く美しい状態を保てます。
銅のアクセサリーは、使い捨ての“流行”ではなく、時間をかけて育てる装身具。
植物の命や自然の形を写し取り、そこに時間の経過をまとわせる――そんな思いを込めて、ひとつひとつ制作しています。
表情が変わっていくことを、「劣化」ではなく「味わい」や「物語」として楽しんでくださる方に、ぜひ手に取っていただけたら嬉しいです。
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